2016年10月21日金曜日

猫短歌 十七首(すやすや編)

絨毯の 部屋出た猫の 風流か 台所裏 箱の中寝る

中秋の 風ぞ冷たき 月の夜 寝るに限ると 猫床に入(い)り

かくれんぼ 台所裏 段ボール 二匹の猫が じゃれる夕暮れ

箱の中 寝ていた猫が またたびの 袋を見るや 飛び出してくる

またたびを 舐めるスピード 高速の 目にも止まらぬ 舌の動きよ

心地良い 寝床作った つもりでも 猫らは家の 外に出寝やる

猫ハウス 暖房つけて やったのに 猫ら泊まらぬ 絨毯の部屋

猫ハウス 暖房入れた 次の晩 ようやく猫が 入り居りけり

猫ハウス 眠る仲間に 誘われて 外いた猫も 中に入(はい)れり

音もなく 我の行く手に 先回り 突如現る 猫に驚く

何処行った 猫を探して 大騒ぎ ハウスの中で 眠り居りけり

窓開けし 我見た猫が 歩み来て 濡れたる屋根に 足を滑らす

足元に ごろり転がり 腹見せる 猫ふまぬよう 気をつけ歩く

同じ餌 出しても猫は 他の猫の 皿に在りたる 餌を欲しがり

背を撫でば 食べ残したる カリカリを 齧り始める 猫の不思議よ

ネコじゃらし 咥えた猫が 誇らしげ 自分の部屋に 戻りゆく也

寄り添いて ハウスの中で 眠りける 猫らに向い おやすみを言う

2016年10月9日日曜日

猫短歌 二十三首

寂しげに ミャーンと鳴く猫 まなざしに 負けてネコカン 今日も与える

餌くわえ 奪われぬよう 離れ食う 野良猫の性(さが) 今だに消えず

バルサンを 焚いた二日後 猫部屋に 平然と蚤(ノミ) 跳びはねる也

またたびを 舐めてきれいに なりし皿 雨の降る夜 台所裏

夜の庭 屋根を仰げば その角に 猫ぞ来たりて 我を見下ろす

草むしる 我の横へと 猫が来て ごろり転がり 撫でろとねだる

両腕で 猫抱き上げば 吾の顔を ざらつく舌で ぺろぺろ舐める

夕暮れに草をむしれば猫が来て名も知らぬ草ムシャムシャ食べる

カリカリと ドライフードを 噛み砕く 猫すこやかな 証しの音よ

猫二匹 ノミの消えたる 絨毯の 部屋で寄り添い 丸まり眠る

絨毯の 部屋に戻りし 猫たちが 体を伸ばし 眠る雨の日

梁の上 よくぞ落ちずに 眠れると わが猫ながら 感心をする

ささみ肉 赤み残して 茹でるなら 違いのわかる 猫味わい食す

ノミよノミ 押せど潰れず 身の丈の 百倍の距離 軽々と飛ぶ

蛞蝓が 夜に忍びて 猫どもの 残しカリカリ 食べに這い来る

配達の 猫砂欠けて 買い物へ 秋の望月 眺めて歩く

雨の夜 二匹並んで ハコ座り 朝待つ如く 猫ら眠れり

大雨で 部屋に戻りし 猫抱けば 濡れた尾に触(ふ)る 腕ぞ冷たき

窓開(あ)けて 猫らの部屋に 風呼べば 青葉ひとひら 舞い来たりけり

雨が来て 鳴く猫部屋に 入れたるも すぐまた外に 出る気まぐれよ

ハコ座り 台所裏 雨の夜 眠たげな猫 我を見上げる

前足に 長き尾の先 巻きつけて 身を伏せし猫 辺(あた)り窺う

猫喧嘩 鳴き声響く 庭先に 床の猫起く 神無月夜

猫川柳 三句

安売りのささみ猫らのために買い

直立を してもせずとも 猫かわい

ネコじゃらし 怖がり逃げる 猫可笑し